
09-02-2007
お仕事さぼってお散歩-フェリス(十一月)
「この街に来てから、時間がよく分からなくなっちまったにゃあ。どうしたものか」
この街の猫たちはみんな口を揃えてこう言い、この中には俺も含まれてる。
時間がしっかりしてないこの街にだって一日はあるが、それの始まりと終わりは曖昧でよく分かりやしねえし、
一日が良く分からなければもっと大きな時間も段々と分からなくなっちまう。
今日は金曜日だと言う奴が居ればいやいやそれは違うでしょ、今日は色の無い月曜日だにゃあと言う奴もいる。
曜日の話題で盛り上がることは多々あるが、日にちや月のことを口にする奴はそう言えば見当たらない。
しっかりした時間を気にしすぎておかしくなった可笑しな帽子屋の真似をする奴は居そうにないが、
分からない時間を気にしすぎておかしくなっちまいそうなのは結構多いかもしれない。それくらいに毎日が変わらない。
「今が何時なのかも分からなければ日にちや曜日も分からない、分からないにゃあ。四月とか九月とかって何だっけ?」
と言いながらも、猫連中は自然と一箇所に集まりなき始める。毎度毎度上手い具合に。
俺が店を勝手に抜け出し散歩に出かける時間も、気づけば大体同じ頃かも知れない。
店に来る連中はいつも同じ顔ぶれだし、注文する料理もいつも一緒。いつもいつも、同じ料理を作り続けてる。
それにうんざりして店を抜け出すのも、散歩するコースも気づけば大体同じだ。いつも同じ場所で同じ猫と出会い結果、近所の猫は一箇所に。
たまにはまあ、いつもとちがうとこでも行ってみるかと影に尻尾を弄らせながら、尻尾をいつもの通り道へ向けた。
そうすりゃあのわん公にも捕まりやしねえだろう。
あいつが俺を捕まえるのが上手いのは元警察犬だからか、とも思ったがいつも同じ場所に居たらそりゃすぐ分かるよなあと納得。今回はどうだろうか。
そう言えば、あのわん公が俺を捕まえたときに困った顔で口にする言葉は毎度大きく違う。今回は何て言うのだろうかとちょっと気になったりもする。
まあ俺を見つけられたらの話だけど。狐の姉ちゃんに怒られるのはいつもの事だし、結構怖いってのも分かってるが今は忘れて歩くとしよう。