-我楽多飯店用心棒-
上と下の2つに分かれたこの世界。
今では「上」に、人間や、それに仕える獣たちが住んでいて、
「下」には、役に立たないガラクタ同然の獣たちが住んでいるが、以前は世界は一つだけで、人は皆、地面で生活していた。
地球の殆どが海となり、陸地はもう殆ど残っていないのに関わらず、人間はネズミのように増える一方だった。
幸い人間は物をつくる力を持っていたので、僅かな陸地のはるか空に、もう一つの地上を
作り上げた。人々の殆どは快適な生活を求め上へ移り住んだ。
人々は相変わらずネズミのように増えていき、それに従い様々な問題が増加していった。
何もかもを機械に頼りすぎた人間たちは、機械無しの生活が出来なくなっていった。
世話をする者が必要だった。
玩具メーカーとして有名な「流星堂」が以前発売したケモノ型のロボットが子供たちの間で流行している。
機械仕掛けのケモノは、高度なAIが搭載され、人よりも賢かった。
それを目に付けた大人たちは、人間の世話をする「介護用のロボット」の開発を流星堂に依頼し、
見事完成した。
機械仕掛けのケモノは人間よりも賢い者が多かったが、人間と同じで有能な者も居れば無能な者も居る。
人々は有能なケモノには身の回りを任せ、無能な者はかつて人々が住んでいた「下」へ廃棄されていった。
長い年月放置されていた「下」の世界は、機械でもとても住めるようなところではなかった。
太陽の光が届かないから今が朝なのか夜なのか分からない。
地上を目指して降って来た雨さえ届くことの出来ない暗く、寒い街。
そんな所でも我楽多たちは、人間から解放されたことを喜んだ。
人間のために自分の身を削る「上」の連中は不幸だ、見捨てられた自分等が幸福なんだと思うようにした。
暗く寒い街の外れの方に、唯一明るく暖かい店がある。
そこは「我楽多飯店」という名の料理屋兼宿屋で、ケモノたちの唯一の拠り所だった。
「私達は人間に捨てられたガラクタだけど、そのお陰で私(我)達は毎日楽(楽)しいことが多(多)く、
充実した生活を送ってます」
という店主の口癖から「我楽多飯店(がらくたはんてん)」と名付けられた。
そこにはメシを食いに来る者や、話し相手を求めにやって来る者、用もないのにやって来る者、
店主を口説くためにやってくるオス達、それを叱りに来るメス達などで溢れかえっている。
荒くれモノが多く、3日に1度は強盗がやってくる。以前は店主自らがトラブルを解決していったが
流石に面倒になったのか、
役に立たず軍から追い出された落ちこぼれ軍用犬、
見た目はメス、中身はオスのエロ猫、
何の躊躇いもなくレジの金を盗む子供型狐(銀行強盗の主犯)
の、元銀行強盗犯3人組を住み込みの用心棒として雇うことにした。
この3人組は店内だけではなく、町内のトラブルの解決屋として扱使われる身となった。