06-02-2010
街外れお散歩日和-フェリス(11月)

この街に捨てられてから、時間が分からなくなった、なくなっちまったにゃあと鳴く猫たちは多い。
その中には俺も含まれているwだけどまあ、時間が曖昧なのも悪くねえかも知れねえなと思い始めてきた。
時間が分からない、なくなっちまったと言いながらもこの街の猫連中は俺と同じく時間に正直だ。
今日が何月で何日で何曜日なのか分からない。今が朝なのか昼なのか夜なのかも曖昧だ。
街の中心にある、人間たちを上へ運び俺たち役立たずを下へ廃棄した、縦に突き刺さった蛍光灯。
その蛍光灯がこの街の全ての供給源。電気を街へ運び、ゴミや食い物を定期的にこの街へ届ける・・・つか廃棄だな全てw
その捨てられた食い物を目当てに捨てられた獣たちは街の中心へと集まる。色んな奴が。ほんっとうに色んな奴が。
俺たち我楽多飯店で働く連中は料理の材料を手に入れるために街へと向かい、必要なものも不必要なものも片っ端から手に入れ持ち帰る。
それに協力してくれる奴らも大勢いる。そのお陰で俺はその仕事をさぼり、街の外れへと向かう。いつものようにね。
料理は俺が担当、食材調達は真面目に働きすぎる気弱なわん公や街の暇な奴に任せる。それがいつの間にか当たり前になった。
いつからそうなったのか俺は覚えていないし、覚えている奴もいない。なんせ時間が曖昧だからね。

曖昧な時間を一箇所に集めるのが得意なのが俺たち猫だ。見たことあるだろう?
いつも同じような光の下に集まり同じように過している奴らを。それがこの時間の曖昧な街でも当たり前のように存在している。
気付けば俺もその一人だ。気紛れに店を抜け出し気が向くままに尻尾を揺らし影を弄び足を運べば、それが決まっていたかのように
他の猫と出会い同じ場所へ向かいにゃあにゃあと鳴き合う。結局は街中の猫の集会だ。
違っているのは新しい顔が増えていることくらいかな。最近見かけなくなった奴もいるかも知れない。全てが記憶と共に曖昧だ。

街の中心部は無人の廃墟と化した高層ビルの集会場。色々と便利な場所だが住むには向かないというのがこの街の獣たちの考えらしく、
ここに住まう奴らは少ない。食料などが廃棄されたときだけが賑やかに。いやそれだけじゃないな。
他所の国からやって来た戦い好きな白狼が率いる「ジャンクヤード・ドッグス」と言う荒くれ集団や、それに対抗する自衛団たちが自らの危険を
省みず銃をぶっ放したり刃物を振るい色のない街に赤い花を咲かす。俺はそんな面倒ごとには関わりたくないが、ジャンクヤード・ドッグスのリーダー
「ジュウガツ」は好きだ。チンコがでかいし、激しいセックスが出来るからなw瀬田も好きだがあいつは積極的になってくれない。そこがまた楽しいのだけどw

話が逸れたな。街の中心部は蛍光灯「タワー」に近く明るい。それを囲うように今度は住宅街の集まりがある。かつて人間たちの住んでいた便利な場所。
マンション、団地、一見家屋、全てが空き家で全てが自由に使える素敵な街の一欠けら。無人かと思って上がり込んでみたら二つの五月蝿い息遣いが
聞こえておおっとなることも稀にあるwそんな時は静かに撤退だ。覗き見る趣味はねえからな。やっぱ実際にヤるのが楽しいw
この周辺はタワーにまだ近く明るく、その一角に中華料理屋「我楽多飯店」がある。俺の料理の評判はかなり良い。機会があれば来るといいぜ。
狐の姉ちゃんにガキ、瀬田と俺が五月蝿く出迎えてやるw客も賑やかな奴が多いから、他人に恐れを抱く細い犬には向かないかもな。
来る客拒まず大歓迎だが、そういう奴もこの街には多く、そいつらは折角の機会を逃しているし俺も機会を逃しちまう。ちょっと残念かな。

タワーから遠ざかるにつれ光が届かなくなり暗くなり、獣の数も一気に減る。
ただでさえ気が滅入る街だ。薄暗い路地裏なんざヤるとき以外に訪れたくはないだろう。
しかしそんな場所を好む奴もいる。他者に恐れを抱く奴、それと思考回路がぶっ飛んじまったキチガイだ。
治安は勿論恐ろしく悪い。殺してもばれないし、壊されても誰にも気付かれない。全てが視界同様闇の中。
たまに一人になりたいときにはうってつけの場所だが、近頃は気の狂ったメスの狐が闇から闇を駆け、屋根から屋根へと飛び移りエモノを
探しているなんて噂もある。集会に集まった猫たちはその話題を同じ様に繰り返し同じ様に忘れる。にゃんだったかにゃあってな。
ま、その話題しかしない訳じゃない。猫たちは街の噂に敏感だ。話題には事欠かない。
あの犬実はホモだったにょよ、ヤってるとこ見ちゃってすっごい興奮した!ドキドキしたにゃあ!と雌猫たちはホモが好きらしく俺はそれに
苦笑いをする。体は女だけど、中身は男なんだよな、俺。人間のミスでこんな欠陥を持っちまったが悩んじゃいない。
猫はそんなことじゃ悩まない。悩むのは今何処へ行きたいか、何がしたいか、だ。
今の俺はそうだな、いつもと同じ様に尻尾に誘われるがままに街を歩き、他の同じような猫と出会い、気付けば猫の集会だ。
店に帰って狐の姉ちゃんに叱られガキんちょの呆れ顔を拝み、困った顔をした瀬田の表情を見るのは後のお楽しみ。
猫は今のこの瞬間を全力で楽しむwそれじゃあなw