「始月、四月、死月。」





16-11-2006
「始月、四月、死月。」-死月

自分はひとりになってしまった。
味方をしてくれるひと、縋らせてくれるひとはもういない。
壊してしまった、怖がられ捨てられてしまった。壊した。
神だと思い崇めていた狐は神なんかではなかった。そんなものははじめから居なかった。
信仰の対象を失った集団の僅かな獣たちはみんな居なくなった。
街の多くの獣たちが自分を非難する。自業自縛。

自分が目指していたこと=全ての人間を滅ぼし、つくられた獣たちだけの楽園をつくること。
もしそんな夢が叶ったとしても、自分はひとりだ。もう、どうでもよくなった。

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犬と出会った狭く汚く薄暗く、居心地の良い路地裏。
狐を殺した銃を手に冷たい地面に跪き、天井のある暗い空を見上げた。
黒色の空に、行く先の見えないタワーとそれの発する淡い白い光。
いつまで経っても慣れる事の出来なかった、グレースケールの空、街。
今まで経験してきた多すぎる嫌だった出来事、少しばかりの楽しかった出来事が音を立てながら頭に映し出されてゆく。
あの日、いつもの様にこの場所に来ると自分の指定席にあの犬は居た。
自分はそこを犬に譲り向かい合った場所に座り込んだ。
今、自分はそこに居る。今、向こう側の壁には誰も居ない。

手に持った銃の鼻面を自分の喉元に充てがった。映写機を止め目を閉じる。
何も見えなくなった。
震え、歯が音を立てる。
震える手、指に力を込め引き金を引いた。

昔よく眺めていた、この街へ来てから見ることの出来なかった青い空が見えた。